名島店のブログ

怪談 -くわいだんー その②

(続き)

 

翌日、昼食を作りに台所に立っていると一人遊びしていた息子がこんどはいきなり

 

「あ、パパが帰ってきた」

 

とリビングのドアを開けて、玄関に一直線。

私はフライパンを返しながら、

 

「何か勘違いしたのかな。可愛そうに、パパ今日は帰ってこないのにな・・・」

 

そう思ってお昼ご飯が済んだらどこか二人でお出掛けしようか、それともベランダにプールを出して遊ばせようかなーなどと考えていると、顔色を変えた息子が走ってリビングに戻ってきてドアを閉め、そのドアの下にある明り取りの小さな窓から玄関を覗き込み

 

「ねぇ、あそこにいるパパは誰?あそこに立っているパパは誰なの?」

 

と私に聞くのです。

 

しばしの沈黙。一瞬だったのか長い時間だったのか。

 

いそいでリビングのドアを開け玄関を確かめても、明り取りの窓からまぶしい夏の景色が見える、いつものヒンヤリした静かな玄関にはもちろん誰もいません。

でも、私には見えないだけで昨日からこの部屋に何かが入り込んでいるのだと、ようやくその時の息子の表情で理解したのです。

 

 

これはパパもいないし、どうしたものか・・・(←あまり怖がりではないのでこういう反応です。)

ただ、息子も驚いてはいるのですが怖がってはいないのでとりあえず玄関に盛り塩をして終わったのですが、たったそれだけの事で、それからピタリと息子がその何者かを見る事はなくなりました。

 

 

 

あっけないといえばあっけない終わり方で、わたしには足音だけ聞こえていたその何者かがどんな姿をしていたのか、その時息子に聞いておけば良かったと今になって思うのですが、この話には後日談があります。

 

それから何日かたった頃、学生時代の友人が訪ねてきて玄関の盛り塩を見つけて理由を聞くので先日の一件の一部始終を話すと、実家の母に見てもらってあげる、というのです。

彼女のお母さんは四国の古いお寺の長女で、叔父が寺を継いではいるけど母の方が人の目には見えない世界に通じているからという事でした。

 

さっそく、その日の夜遅くに彼女のお母さんから電話があり、しばらくのやり取りがあった後言われた事は、一家の大黒柱が入院して幼い子供と私二人になってしまったので私の母方の誰かご先祖様が心配して守りに来た・・・という事でした。

それから寝室に霊道があるのに物を置いて窓をつぶしてはいけませんとも言われてびっくり。ホントに寝室の北側の窓に背の高い書棚を並べていたのです。

なぜ、寝室の様子まで見えてしまうのかとても不思議でしたが、せっかくのアドバイス。

息子になにかあっても嫌なのですぐに書棚も移動させ、友人のお母さんに言われた通り、ご先祖様に感謝の気持ちを込めてしばらくの間、毎朝コップ一杯の水を上げました。

 

それにしても、友人のお母さんのいう事が真実なら守りに来てくれたご先祖様って誰だったのでしょう。

息子が「パパ」と言ったという事は、男性の姿をしていたのでしょうか。

今現在、高校生になった息子にあの時の事を聞いても、もう何も覚えていないようです。

 

残暑の頃になると思い出すちょっと不思議なお話でした。

 

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